「先ほど、数日間イノシシの気配がなかったと言われましたが、イノシシはまた戻って来たのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。なんと、しばらく荒らされていなかったハイゴケに、ミミズが食べられるくらいしっかりと2本の線が彫られていました。イノシシとしては『どうだ!参ったか!』という気持ちでやったのだと思いましたね。」

「イノシシは茶ノ木の裏では物足りず、どうしてもハイゴケを荒らしたいのですね」と町会長。

「イノシシは復讐心に燃えて敵の本拠地を攻撃したのだと思います。初めてハイゴケが荒らされたとき、とりあえず、苔を元に戻してから、ケーヨーデーツーで忌避剤を購入し周りに撒きました。3日ぐらいは持つだろうから、その間にアマゾンで音の出るタイプの害獣撃退器を買えば、何とかなると思ったのです。

そして、ハイゴケを荒らされないようにという守りに入ってしまったのです。翌日来たイノシシは、忌避剤の匂いでハイゴケを荒らすことはできなかったのですが、ハイゴケが元通りになっているのに驚いたのだと思います。イノシシはハイゴケを荒らすことはできても、元に戻すことはできませんから。」

「それで、イノシシは渡辺さんがハイゴケを守ろうとしていることに気付いたのですね」と町会長。

「ハイゴケの中のミミズを守ろうとしていると思ったのかも知れません。」

「そうだとすれば、イノシシは守ろうとしている泥浴び場のミミズが、他のイノシシに食べられると精神的な打撃を受けるのでしょうか」と町会長。

「そう考えるのが理にかなっています。テリトリー争いの時に本丸を攻撃されてしまったということになりますから。」

「ところで、ハイゴケの方に向いているLEDライトは、その時もあったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ハイゴケの近くに猫用の音の出ない撃退器もありました。また、家の東側から裏庭に向けてLEDライトがあるので、茶ノ木の裏には簡単に来れないようになっていました。」

「12月になるとLEDライトも利かないということでしょうか」町会長。

2019/12/15